段ボールいっぱいの柚子が届いた日
宅配便のチャイムが鳴って、玄関を開けると、そこには大きな段ボール箱。
実家の母からです。開けてみると、ふわっと広がる柚子の香り。段ボールいっぱいに、黄色く色づいた柚子が詰まっていました。
「今年もたくさん採れたから」
添えられた手紙には、母のそんなひと言。実家の庭には、私が小さなころに植えた柚子の木が2本あって、毎年この時期になると、たわわに実をつけるんです。柚子のほかには家庭菜園で取れた大根やカブなんかも詰まってて。
さて、どうしようかな。
柚子を眺めながら、今年の「冬の手仕事」が始まります。
まずは柚子風呂で、香りを楽しむ
大量の柚子を前に、まずは柚子風呂。
冬至には少し早いけれど、せっかくたくさんあるから柚子風呂を楽しんじゃおう、と。
きれいに洗った柚子を10個ほど。惜しみなくお風呂に浮かべます。お湯に柚子を入れた瞬間、浴室いっぱいに広がる爽やかな香り。
湯船に浸かりながら、柚子をぎゅっと握ると、さらに香りが強くなって。贅沢な香りに一日の疲れが飛んでいきます。柚子風呂に入った日は、なぜだか体がぽかぽか温まって、布団に入ってもその温かさが続くんですよね。柚子の精油成分が、血行をよくしてくれるんだそうです。
大好きな柚子大根。今年もたっぷり漬ける
柚子が届くと、必ず作るのが柚子大根。
シンプルなのに、とびきり美味しい。わが家の冬の定番です。
柚子大根の作り方
柚子と一緒に送られてきた小ぶりな大根は2本。皮をむいて、拍子木切りにします。いちょう切りのほうが早くつかるけど、私は噛み応えのある拍子木切りが好み。
切った大根は、塩を振って30分ほど置いておきます。水分が出てきたら、ぎゅっと絞る。この水切りが、美味しく仕上げるポイント。
柚子は4個。ピーラーで薄く剥いた皮を千切りにして、果汁も絞っておきます。種は取り除いて。この作業、ちょっと手間だけど、柚子の香りに包まれながらの時間が好きなんです。
保存容器に、大根と柚子の皮、砂糖、酢、柚子の果汁を入れて、よく振って混ぜる。一晩漬ければ食べられるけれど、2、3日置くと、さらに味が馴染んで美味しくなります。
大根の皮と葉は、煎り酒でお漬物に
柚子大根を作るときに出る、大根の皮と葉。これも捨てずに活用します。
大根の皮は、実はとっても美味しい部分。繊維質があって、歯ごたえもいいんです。細く切って、煎り酒で漬けると、立派な一品になります。
煎り酒、ご存知ですか?日本酒に梅干しと鰹節を入れて煮詰めた、江戸時代から続く調味料。優しい塩味と、ほんのり酸味があって、素材の味を引き立ててくれるんです。
こうやって、大根を余すことなく使い切る。昔の人の知恵って、本当に素晴らしいなと思います。
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まだまだ余る柚子で、柚子酒造り
柚子風呂にも使って、柚子大根もたっぷり作って。それでもまだ、柚子は残っています。
そうだ、今年は柚子酒を作ろう。
柚子酒の作り方
柚子酒の作り方は、とっても簡単。
毎年梅酒を付けている保存瓶に、柚子を1kg、氷砂糖を500gほど加えて、果実酒用のブランデーを注ぐ。あとは、冷暗所で寝かせるだけ。
まだ飲めないけど、時々瓶を眺めては「もう少しかな」なんて思ったり。今から仕上がりが楽しみです。
手仕事の時間が、心を満たしてくれる
柚子を洗って、切って、漬けて。
手を動かしている時間って、不思議と心が落ち着くんですよね。何も考えずに、ただ目の前のことに集中する。そんな時間が、私には必要。
両親ももう高齢。柚子を収穫して送ってくれるのも、いつまで続けられるのかななんて思いながら、いただいた柚子と両親の気持ちを大切に想いながら手仕事をしています。来年は収穫を手伝いに行こうかしら。